なんか知らんけど3月の終わりくらいから突然左足の小指~かかとくらいにかけて常にピリピリと痺れを感じるようになってしまった春村謙吾であったが、整形外科の先生曰くひとまず薬を飲んで様子を見ましょう、痺れが取れるまで2~3か月はかかるのでじっくり治療していきましょう、ということになった。
ということで薬を一か月くらい飲み続けても特に症状に変わりがなかったので、一度精密検査を受けてください、ということになり、先日専門の医療施設へ行ってMRI検査を受けてきた。
ECDの最後の著書『他人の始まり因果の終わり』で、癌で闘病していたECDがMRI検査を受けるくだりがあったのだが、そこでの描写が凄まじかったのを覚えている。
ECDは激しい闘病により弱り切った体でMRIを受けるのだが、MRIの機器の内部に台上で横たわった状態で入っていき、検査中機械の動作音が爆音で鳴り続ける。機器の内部で横たわり検査を受けるその間、弱り切ったECDが耐えかねて「助けてーっ!」「死にたくないよーっ!」と絶叫し続ける、といったものだったと思うが (うろ覚え) 、私が自分でMRI検査を受けることになり、その壮絶な描写を思い出して震え上がっていた。
ということで検査当日。朝一の検査を予約したため、普段仕事へ行くときよりも早く起きて、支度をしてクリニックへと向かう。
クリニックへ着き、簡単な問診を受けた後、検査着に着替えていざMRIの機器が鎮座ましましている部屋へ。
そこはスタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』さながらのような気もしないでもなくもないような部屋のど真ん中にでかい機械があり、なんでも台の上に横たわってMRIの機器内部に吸い込まれていくらしい。
私はびびっていた。問診のときに閉所恐怖症ではないですか、と問われていたので自分は特に閉所恐怖症の気はないが、そう聞かれると急になんだか狭いところに数十分の間閉じ込められるのが怖いような気がしてきて不安が加速する。
台上には頭の形にくりぬかれたような頭部を固定する部分があり、そこに頭を入れて横になるのだが、検査中は大きい音が鳴るのでヘッドホンをしてください、と言われてヘッドホンを渡される。ヘッドホンをした状態で頭がスポッと固定部にぴったりはまるので、ぴったり……と思った。ヘッドホンからは検査中の不安感を和らげるためにイージーリスニングの穏やかなピアノ曲が流れ続けている。検査の間、目は開いててもつぶっててもいいですよ、とのこと。
そしていざ検査開始、ということで、台がウイーンと動き出し、巨大な筒の中へ。
せ、せまい……。すぐ目の前には白い婉曲した壁がある。
自分は閉所恐怖症ではない、そう思っていたが、いざMRIの機器の中に突っ込まれると、なんだか怖くなって呼吸が浅くなり息苦しい感じがしてきた。
ヘッドホンから流れ続けるイージーリスニングのピアノは私の不安感をなんら軽減するものではない。もっとなんかユーロビートとかEDMとかのBPMの速いぶち上げパーティーチューンを爆音で流してほしい。
強い不安感と息苦しさにより、私は迷わず固く目を閉じた。
ヘッドホンの向こうからピーーーーーーーとかガーーーーーーーーとかゴウゴウゴウとかのインダストリアル・ノイズが爆音で鳴っているのが聞こえてくる。
私はWHITEHOUSEなどのパワエレとかノイズとかのCDレコードを若い時分に収集しており、ノイズ・ミュージックに多少慣れ親しんでいたので、そのノイズはさほど不快ではなかった。
早く終わってほしい、とただ祈っていたのだが、今度はそのうちに便意を催してきた。おならがしたいのだが、検査中は動くな、と言われていたので身体を動かしておならの気をそらすことができない。
それにしても、足が痺れていること以外はなんら身体に異常のない健康体の自分でさえMRI検査はしんどいのだから、もっと大変な病気を患っている人にとっては大変負担の大きい検査であろう。
ECDのことや、私の大好きなおばあちゃんのことを思う。うちのおばあちゃんは健康だが。
15分~20分くらい筒の中にいただろうか?検査終わりです、と告げられ、自分の横たわっている台がウイーンと動き出し、筒から出された。
検査着から着替えて待合室で10分ほど待ち、検査結果のデータの入ったディスクを渡されて終了。保険適用で検査費用が8,000円近くかかり、血の涙を流す。
今度はこの検査結果を持って通っている整形外科へと行って先生の話を聞かなくてはならない。
めんどくさい……し、もしMRI検査で大きな問題が見つかっていたらどうしよう。手術とかになったらどうしたらいいんだ。怖すぎるし嫌すぎる。
次回へつづく―
0 件のコメント:
コメントを投稿